ひよこ支部

"私は私"

中野

FORTY

中野サンプラザ

 

国内ラストの公演、かつ唯一のホール公演。

事前に特別な演出があることが予告されていた。

 

スタンディングもとても楽しいことは分かっているが、やはりsukekiyoをホールでじっくり観るのは特別な感じがするし期待が高まる。

今回は入場時にセットリストとメッセージが書かれた紙が配布された。DRESSEDUNDRESSEDとのコラボレーションらしい。この時点では知らなかったがファッションブランドだった。

 

開演前、高い天井からステージまで重厚な緞帳が下りていてステージは隠されていた。ステージの真ん中、緞帳の前に白いクロスが引かれた横長のテーブルが置かれていた。真ん中に椅子が一脚。左右に数本のキャンドル。お皿とグラス。お皿の上には赤いトマトのような球体。(開演前に一度球体を交換していたのが見えた)

 

いつものブザーが長めに鳴って開演。


上手と下手から一人ずつスーツ姿の人が歩いてやってきた。顔には白っぽい布が巻きつけてあって異様な雰囲気。一人が椅子に座る。もう一人が寄り添って座った人の目を手のひらで覆う。二人とも黒革の手袋をつけている。座った方は赤い果実を両手で弄ぶ。ひとしきり密着した後にまた左右に一人ずつ去っていった。その後テーブルは下げられた。

 

開演時のSEと映像もあった。幕が上がると紗幕がかかっていて、そこに映像が投影された。メンバー名が順番に出て、そして最後に

sukekiyo

×

DRESSEDUNDRESSED

FORTY

と。

気づいたら紗幕の向こうにメンバーがいた。

 

1曲目は偶像モラトリアム。

紗幕の真ん中にCHANELのスーツを着た京さんの立ち姿が映っていた。よく見たら実物の京さんも同じスーツを着ていた。そして曲が始まると京さんの顔のアップの連続。加工されているが生々しい表情の変化がスクリーンいっぱいに映し出されていた。京さんの表情をどの席からでも堪能できる演出だった。アイラインくっきりに真っ赤な口紅というメイク。最後にはその紅を手で乱していた。実物と映像どちらを見たらいいのかと混乱したが映像のインパクトがすごくて目を離せなかった。

 

 

猥雑はMVに出てきたタイトルが大きく出てインパクトのある始まりだった。

MVの映像が後方スクリーンに流れつつ、レーザー照明が目まぐるしく動き回って立体的に見える演出だった。照明が本当に美しくて素晴らしかった。曲によってはステージ上に別の空間が出来ているような感覚を覚えた。

ときどきスクリーンに歌詩も出ていて、君は剥き出しの後半畳み掛けるところで「愛してるって言ったくせに」が特に大きい文字で出たところでゾワっとした。

アナタヨリウエでは、後方スクリーンに青っぽいメタリックな口紅をつけた唇がアップで映されていて、右から流れて来た詩が口の中へ吸い込まれて行った。唇がすぼめられたり半開きになったりしてある種の気持ち悪さがあった。

 

音響も立体的に作られていて、kissesはボーカルが左右に振れているのが分かった。そしてホールということもあり全体的に聴きやすかった。低音の響きが椅子の背もたれからも感じられてliveだなと思った。(liveです)

ちなみにkissesはいつもの優雅な投げキスのほかに、最後チュッと音が聞こえた気がする。

 

セッションの時、京さんが謎の楽器を持って吹いていた。吹いてはいるが管楽器のような見た目ではなく白い機械のように見えた。音は低めだったように思う。(なお今日はベースは弾かなかった)

utAさんも今ツアーではシンセを弾いているとのことだったけど、どこかでスクラッチ音も聴こえたような気がしたが気のせいかもしれない。

(私はそもそもシンセサイザーについて色々音がでるもの、くらいしか分かっていないのであった)

 

途中でいったん映像が入った。

洋館の晩餐といった雰囲気。メンバー全員がテーブルについている。顔に黒い薄布を被っているシーンもあった。おそらく本日の衣装と同じものを着ている。(アー写と2パターンだったようにも思ったが自信がない)

冒頭に出てきた二人が、映像にも登場。メンバーが座っている前でおもむろに服を脱ぐ(脱がせる?)。シャツの下に黒の染みが沢山ついたような柄のノースリカットソーを着ていた。それも脱いで下着のみの姿になった。顔の布と手袋はそのまま付けている。右の男性が何か白いレースのような布を持ってきて、左の男性に手渡した。受け取った人はそれを身につける。布はごく薄いレースで作られたブラジャーの形をしたものだった。後ろを留めてほしいと言うかのように左の男性が背を見せる。右の男性はホックに手をかける。(おそらくここでいったん途切れた) 

 

今日はスタンディングのセットリストと異なっていてエリザベスとaftermath、白濁が入っていた。(要するにが入っていなかった。)久しぶりに聴いた曲たちはホールにとても似合っていてそして声が伸びやかに響いていて美しかった。

 

激しい曲もカッコよさが突き抜けていた。スタンディングでもとても楽しかったけどホールではまた演出と一緒になって熱量というかパワーが倍増していて迫力が凄かった。

 

後半の聴かせる曲の流れも素晴らしかった。たしかセッションのutAさんのギターが鳴っているところから濡羽色イントロに繋がっていた。映像はモノクロの部屋のような静止画だったと思う。この頃には京さんはシャツをはだけていてピンクの照明になっていた。「薫り残る忘れ物」あたりの詩が出ていた。

animaはピンク。この曲が出た頃のインタビューで匠さんが「今の自分たちを全て詰め込んだ曲」と言っていた気がするんだけど、今日ホールという場で全パートを見てその言葉を思い出していた。liveの時は特に歌の情感に引き込まれてしまうことが多いけれど、今日は楽器の音ひとつひとつどこを取ってもあらためて最高だなと思った。

憂染の映像もまた美しかった。花畑とか緑とかあとは詩に合わせた春の桜…。もともと好きな曲ということもあって感動的だった。そして生で見るベースがいっそうカッコよく思えた。

 

漂白フレーバーが始まるときに紗幕が上がった。そして後方スクリーンにはメンバーが登場する新しいMVが流れていた。これはまた、実物と映像どちらを見たらいいかと迷ってしまう状況だったけど、映像がカッコよすぎて結構そちらを見てしまった気がする。(DVDかBlu-rayに収録お願いします。)

映像の中ではYUCHIさんはアップライトだった。匠さんは上のほうに置いた鍵盤を弾いていた(ピアノの上?)。utAさんは映像だと穏やかにギターを弾いていたけど実際は激しかった。

あっちを見たりこっちを見たりしていたらあっという間に曲の後半になっていた。最初にあったテーブルが再び運び込まれ、ステージの真ん中に置かれた。今度は椅子は5脚。京さんが踊るのを止めて真ん中の椅子に座った。次にutAさんが京さんの右隣りへ。次にYUCHIさんがベースを床に置いて右端の椅子に。しばらくドラムとピアノのセッションが続き、しばらくして未架さんが左端に。最後に匠さんが京さんの左隣へ。(客席から見ると、左からみか・うた・きょう・たくみ・ゆち)

京さんがふとテーブル上のスプーンを手にとり不思議なものを見つけたかのように色んな方向から眺めていて個人的にとてもときめいた。

そこへ例の2人がまた登場。映像の続きらしく裸に下着という姿だった。左の人は例のブラジャーを着用している。また、顔を覆う布、手袋、靴は二人とも身に着けていた。一人がテーブルに座り脚もテーブル上に載せた。続けてもう一人も向かい合うようにテーブルに座り、抱擁したりキスしたりお互いの身体をまさぐったりしていた。

 京さんが立ち上がり、グラスに入った赤紫の液体を二人の身体にかけた。もう一杯も同じように。液体はドロッとしているようで身体の上にぬらっと垂れていた。 

エンドロールが流れていたと思うがこの光景に気を取られてあまりちゃんと見ることができなかった。そして幕が下り、終演した。

 

・・・

 

終わった後しばらく余韻でぼーっとしてしまった。

FORTYっていう同じツアーなのにホールだけ特別感がすごかった。これが関東で1日しかないなんて。これは確かにみんなにもっと見て欲しい。でも1日だから良かったのだろうか。でもあのすべてが1回きりのためのものだなんて勿体ない。いや、でも1日だから良かったのだろうか。(以下ループ)

 

表現されているものをどう感じるかは人それぞれだと思うし、文字にすると野暮になりそうだけど自分としてはとても楽しめた。何が起こるのだろうとドキドキしていたし、目の前で繰り広げられる絡みを凝視してしまった。服は着ていないのに手袋と靴は着用しているというのもそそられた。ファッションブランドによるものだということも考えさせられた。(そんなに深く考えられないけど)

あとはDIRの鱗のときも思ったけど、自分はテーブル?食卓というシチュエーションが好きなのかもしれない。そこに載る料理ではないもの。

 

スタンディングではなかなかメンバー全員をちゃんと見ることができなかったけど、今日は全体を見ることができた。ホールもう1公演くらい欲しいところ…。

上手寄りだったこともあって、匠さんとYUCHIさんがよく見えた。もうーほらーやっぱりベースかっこよすぎ!という心の叫びが何度あったことか…。匠さんはやっぱり色々忙しそう。上手袖の方向に向かって鍵盤弾いてるときも後ろを向いてメンバーの様子を確認していたりしていた。そう、そういえば今日は演出上YUCHIさんが匠さんを笑わせるやつはやってなかったと思う(たぶん)。あと沙羅螺コーラスはライブハウスで見たときは男気って感じだったけどホールで見たらちょっとだけ可愛く見えてしまった謎。

utAさんのひらひら宇宙なギター演奏っぷりも見ていて楽しいし今日は久しぶりにヴィオリラも演奏していた。あと結構歌を口ずさんでいる?

未架さんのドラムもほんと凄いなって思っているけど文章にするとうまく表現できない。ダイナミックかつ大胆かつ繊細かつテクニカルでカッコいい。そして直前まで映像編集お疲れさまでした。本当に映像素晴らしかった。

 

今日はメンバー全員カチッとした衣装だった。詳しく見えなかったけど黒ジャケットだった。(素肌にジャケットだったらしい?)首元には黒のストールをしていてそれもカッコよかった。匠さんはハットをかぶっていた。

京さんはジャケット胸元に「CHA」「NEL」って文字が入ってるジャケットでインパクト強くてすごく推してくるやん…みたいな気持ちになった謎。(自分は視界に文字があると文字に注目してしまう性分なのかもしれない。)髪は金髪ショートでメイクまではよく見えず。

 

今回は最後に告知などはなかった。先日Twitter(かな?)であったようにしばらくツアーの予定はない模様。

 

とにもかくにも、ありがとうございました。